まちなかぶんか小屋
文化を入口に、
人が安心して関われる余白を
まちの中につくる
まちなかぶんか小屋は、北海道旭川市の中心部にある小さな文化拠点です。演劇、落語、上映会、講演会、ワークショップなど、さまざまな文化活動が行われ、文化施設として多くの人に開かれています。一見すると、福祉のための施設ではなく、まちのイベントスペースのように見えるかもしれません。けれども、ここでは、文化を通じて、人と人が出会い、関わり、孤立をほどいていく活動が営まれています。
この活動を支えるのは、竹田郁さん、有村幸盛さん、泉山草太郎さん。それぞれの関心や経験を持ち寄りながら、一言では説明しきれない、文化と福祉が融合した場を運営しています。ふらっと人が集まり、話したり、表現したり。何もしなくても、ただそこにいられる場をつくっているのです。まちなかぶんか小屋は、運営する人たちが立てた事業計画だけに沿って営まれているのではなく、そこに集まる人たちの意見を取り入れながら、日々の関係の中で場所を育てています。
困りごとに直面している人たちがみな、「私は困っています。支援を受けに来ました」と言えるわけではありません。映画を観に来る、誰かの話を聞きに来る、自分の表現を持ち込む。何となく立ち寄る、ただ同じ場所にいる。そうした中で、社会とのつながりが生まれることがあります。
まちなかぶんか小屋が守っているのは、動員数や売上などの数字でははかれない何かです。すぐに役に立つわけではないかもしれない。けれども、誰かが自分のままでいられる場所がまちにあることは、人が孤立しないための大切な支えになります。
竹田郁さんは、かつてソーシャルワーカーとして働いていました。仕事にやりがいを感じる一方で、困っている人の課題を整理し、計画を立て、その計画に沿って支援することに限界も感じたと言います。竹田さんが考えたのは、支援する人とされる人として向き合うのではなく、友だちのような関係をつくることでした。友だちであれば、計画がなくても会える。用事がなくても話せる。失敗しても、関係がすぐに終わるわけではありません。
まちなかぶんか小屋では、文化活動を入口に、人と人が出会い、時間を共有します。そこでは、誰かを「支援の対象」として見るのではなく、ひとりの人として関わることができます。竹田さんは今、この場所で、計画だけでは届かない支援を実践しています。
シロ財団が出会いたい活動は、わかりやすく福祉という名前がついているものには限りません。入口は何であっても、その先に、排除されてしまいがちな人たちが、安心して関われる場所があること。そして、その場所をつくる人たちと、継続的に関わり続けられること。まちなかぶんか小屋の活動は、居場所づくりの可能性を広げてくれます。